SCP-現代のクトゥルフ神話

SCPとは

それは1つの彫刻の写真から始まりました

SCP(正式名:SCP Foundation)とは、海外が発祥の創作怪談群です。
世界観は「財団」と呼ばれるほぼ世界征服を成し遂げていると言っても過言ではない秘密組織が、「SCPオブジェクト」と呼ばれる異常存在を一般社会の目に触れないよう管理しているというものです。

財団はSCPオブジェクトを「Secure(確保)・Contain(収容)・Protect(保護)」の理念に基づいて扱っています。
この財団がSCPオブジェクトの適切な取り扱いを示した報告書という体の各作者の作品がSCPのメインコンテンツです。

このような創作活動が始まったきっかけは、海外の掲示板に1枚の彫刻(なんと日本人の作品)をもとに書いたことが始まりです。
この二次創作作品は「SCP-173」と呼ばれ、最も有名なSCPの一つであり、SCPの起源です。

SCPオブジェクトは既存の物理法則から逸脱したものであればなんでもありで、超能力者やUMA、ひみつ道具、現象から概念まで多種多様です。
ジョークやかわいい系もありますが、基本はホラーテイストで財団が犠牲を払いつつも収容しようとする様が描かれています。

SCPの楽しみ方

個人的にSCPの魅力はシェアワールドにおける多様な視点からの創造性を楽しめるということにあると思っています。自分はSCPを現代のクトゥルフ神話と勝手に呼んでいます。
異常存在に対する人々の悪意や気高さ、滑稽さなど人間模様を描きたい作品。
超常存在による脅威を描くことで我々の常識や存在の不安定さを描く作品。
ただ読む人を驚かせたい、怖がらせたい作品などSCPという共通のフォーマットを通して作者の創造性の発露が見られるのが楽しいと感じています。

二次創作に基本的に寛容なのもあり、SCPの影響を受けたSCPや「Tale」と呼ばれる報告書形式でないお話、影響を受けたゲームなど広まりを見せています。

ジャンプで不定期連載中の「HUNTER×HUNTER」にも似た感じのものが登場しています。
暗黒大陸の五大災厄と作中で呼ばれています。

・各国の政府が例外的に共同して隠ぺい、管理している

・ハンター世界での物理法則(念能力含む)を大きく逸脱している

など、法則はあるが割と何でもありな念能力すら上回る脅威として描かれています。

はじめての人は日本語サイト(http://ja.scp-wiki.net/)で評価の高い記事を読んでみるのがオーソドックスかと思います。

また、わかりにくいSCPなどはニコニコ動画などのSCP解説を見てみるといいかもしれません。手の込んだSCPに対してもわかりやすくまとめ、見どころを伝えてくれます。
しかし、報告書形式の記事を読んで仕掛けや隠されたメッセージに気づくといった楽しみは失われてしまうので注意です。

SCPにどっぷり浸かってしまったあなたが自分も創作をしてみたいと思うのならば、クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0(CC BY-SA)ライセンスに従って創作しましょう。
基本的には出典を明記し、自分も二次創作を許可するならば、商用利用もOKというものです。

個人的お気に入りSCP3選

個人的お気に入りSCPを3つ紹介します。といっても有名どころですが…

SCP-120-JP「世界で一番の宝石」(http://ja.scp-wiki.net/scp-120-jp)(by ZeroWinchester)

いわゆるモンスタータイプの貝のSCP。
このSCPが他と違うのは自分に高い価値を見出すものが現れるまで暴れまわること。

財団でも鎮圧できず手を焼いていたが、このSCPを一番の宝物とする少女がいた。
彼女と一緒の収容により鎮静化したが、危惧されるのは彼女の成長による価値観の変化である。

当然SCPもそのことに気づいており、彼がしたためたメモの内容とは…

外部から見ればはた迷惑でしかないSCPだが、移ろいゆく時のはかなさも感じさせる。
その中でも残りうる価値とは何かを感じさせる良い意味でSCP-JP(日本産)らしいSCPです。

SCP-2420「ある忠犬」(http://ja.scp-wiki.net/scp-2420)(by kinchtheknifeblade)

異常現象タイプのSCP。とある男性に存在を認識できるほど近づいた犬は彼の元ペットのボーダーテリア犬の姿に一時的に変化する。

異常発生時、彼はペットの死に打ちのめされており、自殺を考えるまでになっていた。
彼は財団に収容され、実験の中で彼のペットに変化した犬と触れ合い、状態が良くなっていく。
ある日、犬の姿がもとに戻ってしまい、異常が発生しなくなってしまう。

飼い主と犬との絆がうかがえる、1本の映画のようなSCP。
男のインタビューが細かい犬の癖まで語っており、作者はガチでペットロスを乗り越えた経験があるのではないかと思わせる。
犬好きにおすすめのSCPです。

SCP-112-JP「洋食店のサンプル」(http://ja.scp-wiki.net/scp-112-jp)(by Stringfish)

異常物品タイプのSCP。ポリ塩化ビニルでできたナポリタンのサンプルであるが、周囲約3.6mの有機物をポリ塩化ビニルに不可逆的に変化させる。

これはとある食堂で発生したらしく、周囲の人間がポリ塩化ビニル化されて見つかっている。
収容難易度自体は低く、回収時や収容後に事故も特に起こらなかったため報告書も短めである。

しかしこのSCPの本番はTale(報告書形式でない二次創作ストーリー)にある。
「昼食」(http://ja.scp-wiki.net/lunch-time)(by tokage-otoko)

異常発生直前の食堂での何気ない、しかし温かみのあるやり取りが丁寧に書かれている。
危険度の低いSCPでも、人々の何気ない日常の幸せを無慈悲に、何の前置きもなくぶち壊しているのだというSCPの理不尽さを伝えてくる。

SCPのアンソロジーコミックが発売

2019年4月10日に日本で初のSCPの商業アンソロジーコミックが2冊発売されました。
SCPをオムニバス形式で紹介したもののとなっています。
紹介されているSCPは以下の通りです。

・SCP財団コミックアンソロジー 怪

カバーイラスト
SCP-106「オールドマン」

コミック
SCP-049「ペスト医師」
SCP-300「”瓶詰めの世界”」
SCP-818-JP「えらいねぇ~」
SCP-2480「未完の儀式」
SCP-3998「ウィッカー・ウィッチは生きている」
SCP-076「”アベル”」・「機動部隊Ω-7事件記録」
SCP-3213「失せな、カール。」
SCP-166「年頃のサキュバス」
SCP-191「サイボーグの少女」

・SCP財団コミックアンソロジー 奇

カバーイラスト
SCP-1782「白紙」/ナカノショウテン

コミック
SCP-040-JP「ねこですよろしくおねがいします」
SCP-903-JP「Mr.コジロウ feat.愉快なダンサー」
SCP-168「暗闇嫌いな計算機」
SCP-239「ちいさな魔女」
SCP-020-JP「翼人」
SCP-120-JP「世界で一番の宝石」
SCP-1045-JP「お眼鏡にはかなわない」
SCP-918-JP「それは誰かが見た見果てた夢」

感想

個々の話では、SCP-903-JP「Mr.コジロウ 」とSCP-120-JP「世界で一番の宝石」が特に楽しめました。

SCP-903-JP「Mr.コジロウ 」は踊り狂う動物たちの絵が視覚の暴力となっていて、モザイクの土下座ポーズに笑ってしましました。これはコミカライズ向きのSCPだと思います。

SCP-120-JP「世界で一番の宝石」は先ほど紹介した内容が可愛らしい絵柄で描かれており、ほほえましい気持ちになりました。

通して読んでの感想は「物足りない」でした。財団の非情さ、SCPの理不尽さを際立てるためにもっとページを割いて、ストーリー性重視でTaleの内容をぶっこんだりしてもよかったのではなかったかと思いました。
分かりやすさ優先でならユーチューブやニコニコのSCP解説動画の方が優れていると思います。
多少でもSCPをかじった人のファンアイテムとしては満足でした。

この記事の内容は「クリエイティブ・コモンズ 表示 – 継承3.0ライセンス 」に従います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です